2014年10月20日

レビュー: SHIFT - Hitomi Nishiyama TRIO "parallax"


西山瞳がパララックスのトリオで6年ぶりにアルバムを発表した。Jazz Up Japanなりの解釈、感想を書いてみる。

1) Rock Out
西山瞳による「ジャズロック」、といったところか。昨今よく耳にするfox capture planの曲や、はたまたテレビドラマの挿入歌で一青窈が歌い再び注目を浴びた昭和歌謡などで採られる技法を、西山が表現したと言える。つまり、リフというか、出だしから短く同じ強烈なメロディーを音階を変えながら繰り返すのである。この種の曲としては短めではあるが、そこは西山の気概の表れであろう、これぐらいにしといたろ、と。つかみは十分にOKである。

2) Shift
馬場孝喜のギターが絶妙に効いている。西山が彼を重用する理由がはっきり分かる曲の1つである。いよいよ "parallax" 全開を感じさせてくれる2曲目である。

3) Wright Flyer
坂崎拓也の弓を使ったベースにギターを絡ませ、まさに空を飛んでいそうな曲調である。ピアノとドラムスのsubduedな調べがにくい。

4) Aquascape
3曲目の『Wright Flyer』が空なら、この曲は水中である。西山は魚が好きで、よく水族館を訪れるそうだが、その風景が感じられる。ここでも、清水勇博のドラムスが無理なく表れている。

5) Girl from Ipanema
あの曲が、このように解釈され、アレンジされ、表現されている、という楽しみ方ができる。正直、最初、よく聴かないと、あの曲とは判らなかった。

6) T.C.T. - Twelve Chord Tune -
こんな風にギターが弾けたらさぞかし気持ちいいだろうなぁ、と思わせる、罪な一曲である。

7) Move
ベースの入り方がカッコいい。小気味よいテンポで進んでいく。終わり方が幾通りも工夫できそう、と感じさせられる。

8) To The White Forest
なぜだが出だしから象をイメージしてしまう。まさに、森に分け入って何かが出てきそうな曲調である。

9) Analemma
静謐な旋律が流れる。ドラムスによるアクセント付けが効いている。天体をイメージさせる曲調が前半に感じられる。

10) C Jam Blues
ピアノとドラムスとの掛けあいで気持ちよく進んでいく。『Rock Out』で始まったなら、アルバムの終わりにももう少し冒険があってもいいのかもしれない。

「ジャズロック」でぶちかまして出たアルバムだが、そこにとらわれず次の作品へも期待を膨らましたい。











タグ:CD ジャズ
posted by Jazz Up Japan at 19:56 2014年10月20日 JST | レビュー | 更新情報をチェックする

2014年10月09日

西山瞳 parallax - ニューアルバム

Hitomi Nishiyama TRIO "parallax"

6年ぶりのニューアルバム『SHIFT』

2014年10月8日発売




タグ:ジャズ CD
posted by Jazz Up Japan at 02:29 2014年10月09日 JST | リリース | 更新情報をチェックする

2014年10月05日

理想的なライブハウスとは? - The Japan Timesの記事を読んで



以下は次のThe Japan Timesの記事をJazz Up Japanが日本語訳したものである。

"Live houses need to rethink their product if they want to attract customers
"

http://www.japantimes.co.jp/culture/2014/09/30/music/live-houses-need-to-rethink-their-product-if-they-want-to-attract-customers/#.VCu6jWd_v2s

なお、以下の日本語訳はJazz Up Japanが独自に自らの責任で行ったものであり、必ずしも英語原文を一言一句正確に翻訳したものではない。また、本日本語訳に関してThe Japan Timesは一切関与しておらず、指示をしたり編集を行ったりしていない。



↓↓↓ Jazz Up Japanによる日本語訳(始め) ↓↓↓

題: ライブハウスは客を引き付けたいのならやり方を考え直す必要がある

イアン・マーティン
The Japan Times特別寄稿
2014年9月30日

音楽の売上げが減少している昨今、バンドやアーティストはライブで稼ぐというのが自明の理になっている。だからこそ、アイルランドのバンドであるU2とアップルが、iTunesでユーザーの意向に関わらず、ニューアルバムの無料配信を決定するに至ったのであろう。

しかしながら、高額チケットの公演で得られる大きな収益は、インディーズでは繰り返しは発生しない。これは理解できる。それゆえ、聴衆が聞いたことがない演奏をコンサート会場で披露するという高いリスクを冒さず、ユーザーが既にファンであるという前提でiTunesの無料配信を行ったのである。

東京の音楽ライブ会場は特に分からないことだらけで評判が悪い。そこで、ライブ会場は自らをより魅力的にするには何ができるのであろう。今回、ソーシャルメディアを通じてファンとミュージシャンに簡単なアンケートを行ったところ、一番の問題は料金であるという見方で一致した。

表示料金は2,500円以上という場合が大部分で、この値段は海外の多くの会場と比べると法外である。しかも、その上に、追加で通常500円ぐらいのドリンクの注文を強いられる。入場時に3,000円(28米ドル、17英ポンド)というのは、何の気なしに入るには敷居が高く、ミュージシャンの熱烈なファンか友人でないとなかなか入りにくい。

ソーシャルメディアのアンケートでは、1,000円でドリンク注文の強要はなし、というのが妥当であろう、といったところで意見の一致が見られた。話を聞くと、入場時に払う金額が低いほど店内のバーカンターでドリンクを買いたくなることも増えるだろう、という声が多かった。

雰囲気もライブハウスに行きたくならない理由になっている。入り口は見つけにくく、店が上階に隠れていたり地下の分かりづらいところにあったりすることが多くて、店内から漏れ聞こえる音に一見(いちげん)の客が吸い寄せられることはほとんどない。

店内こそ雰囲気が醸し出されるところなのだが、味気のない黒塗りの壁で囲まれ、個性も気取りも一切感じさせず、聴衆の注目をすべてステージに向けさせる作りになっている会場が東京では多い。このような内装にすることにより、音楽演奏で使う空間に会場の独自色が影響しないようにして、あらゆるイベントを誘致し、雰囲気についてはイベント主催者に責任を押し付けている。

この「何でもあり」的なイベント開催に結びつくのが、多くの会場が採用している行きばったりのもっともらしいブッキング方法である。それで、(ライブに頻繁に足を運ぶ人の大多数にとっては多すぎるのだが)5つぐらいのバンドが一緒くたに扱われ、どうも何の趣向もなしに組み合わされているようである。したがって、内装デザインや筋の通ったブッキング方針、あるいはその両方をうまく取り入れて、独自性を何とか確立している会場が、有名になり評判がいい場合が多いのは当然である。

東京のライブ会場がわざと個性を押し殺そうとするのは、音楽を聴衆の顔に向けて直接、最も効率的な方法で流せるようにするというきわめてちっぽけな役割に自らを当てはめていることの表れである。ライブ会場の目は聴衆ではなくバンドに向けられており、バンドはそのために精を出している場合が多い。

このような状況をどのように修正すべきなのか。ソーシャルメディアのアンケートでは、着席できるエリアを設けることやドリンクや食べ物を充実させることなどが多く挙げられた。4、5時間は続く夕刻からのイベントの場合、飲食サービスはきわめて重要である。夜のイベントで開始時間が(午後6時30分など)早い場合、食べ物の販売がないと、客は音楽か食事かの選択を迫られることになり、たいてい東京で活況のレストラン業界に軍配が上がる。

禁煙にすべき、という声もあり、主にアメリカ人から議論が起こったが、日本人による支持もある程度得られた。

以上、非公式なソーシャルメディアのアンケートによると、理想的なライブ会場というのは、入場時に料金が1,000円でドリンク注文の強要はなし、店内バーの品揃えが豊富で値段もリーズナブル、着席できるエリアが設けられていて、食べ物の提供もあり、といったところになる。さらに注目されるのは、会場のデザインや音楽の独自性で、より趣旨の整った出演者選出を行い、一晩に3バンド以下にすることが求められる。また、午後8時ぐらいの開演とし、仕事帰りでも行きやすくすることも肝要である。

課題は、家賃の高さ、ますますアルコール離れが進む若者文化、そしてクラブに対する矛盾した法制度である。それでご近所や警察から厄介者に見られるのはまだ良い方で、最悪の場合、社会の破壊勢力ととらえられるのである。

それを考えると、上に挙げた理想のライブ会場の条件というのは、まったく世間知らずなものなのかもしれない。しかし、欲しくないユーザーはU2のアルバムを削除できるような仕組みをアップルが考え出せるのであれば、たぶん東京のライブ会場も客の望みに耳を傾けることができるであろう。


↑↑↑ Jazz Up Japanによる日本語訳(終わり) ↑↑↑



=↓= Jazz Up Japan的解説(始め) =↓=

この記事で取り上げているのは主にいわゆる対バン形式で行われる(オール)スタンディング型の(ロック系?)イベントであり、またそういうイベントを興行するライブハウスである。したがって、ジャズクラブとは一線を画すが、ジャズの関係者(ミュージシャン、クラブ、ファン)にも参考になるところはあると思う。料金設定、ドリンク注文の強要、飲食サービス、イベント開始時間はそうであろう。

生演奏に対す料金、日本でいういわゆる「ミュージック・チャージ」だが、これを低めに設定して、ジャズクラブは飲食の提供で稼げ、という議論は確かにある。それは、飲食しなくても十分ペイするような(高い)ミュージック・チャージの設定がいいのか、飲食での出費を見越した(低い)ミュージック・チャージの設定がいいのか、という戦いにもなる。一般に、頻繁にライブに通う「聴き専」は前者を好み、気楽に食事とともに生演奏を楽しみたい向きは後者を好む。正解はない。

喫煙問題の取り上げが少ないのが残念だが、ジャズクラブを前提とした議論ならまた違ったかもしれない。スモークフリーは当たり前である。

ハコのデザイン、はどうであろう。ジャズクラブではこれが一番難しいのではないか。音響を一番に考えてほしいものである。

一見(いちげん)の客を入りやすくするか、これもジャズクラブについては意見が分かれるところであろう。背景知識を持たず(特に団体で)ずかずかと「聖域」に踏み込まれることに眉をひそめる御仁は少なからずいる。しかし、最低限のマナーを守ってくる初心者は暖かく迎えたい、かつて自分がしてもらったように。そうでないと、文化のすそ野は広がっていかない。

これは、2014年は1,200万人を超えようかという海外からの旅行者の取り込みにつながる。団体バスで乗り付けて免税店で買った炊飯器やおむつを両手に抱えてそのまま生演奏を聴きに来てくれ、というのではない。「郷に入れば郷に従え」の姿勢で敷居をまたごうとしている海外組には、丁寧なパブリシティーが届くようにしたい。

その点、J-POPは先行しているのではないか。J-POP業界は国内の若者層が少なくなっていることをいち早く察知して、近年、東南アジアなど海外に若者を求めて進出したり、国内で海外組のファンを意識したりしてイベントを催している。

ジャズはもともと年配のファンの多いからか、そうした動きが鈍い。団塊の世代がみな定年を迎え、出かけやすくなって、ますますジャズクラブにも来てくれる、と喜んでばかりはいられない。そういった層は、する側であれされる側であれ、すぐに介護に関わり、在宅介護が推し進められる中、団塊ジュニア世代もまた簡単には出かけられなくなるのである。それに、年寄りに媚びた音楽はつまらないし、すぐにすたる。

国内の消費基盤がもろくなり影響を受けているのは、音楽業界も同じである。デパートなどは円安や免税対象品拡大も手伝って海外からの旅行者に必死に来てもらおうとしている。ジャズ業界も見習うべきである。

=↑= Jazz Up Japan的解説(終わり) =↑=

以上
posted by Jazz Up Japan at 00:39 2014年10月05日 JST | メディア | 更新情報をチェックする