2018年03月01日

2017年のベストアルバムと生演奏





2017年の Jazz Up Japan 的ベストアルバムは、2016年に続き、山中千尋である。Thelonious Monk の生誕100年を祝したトリビュート アルバムである。Monk が卓球が得意であったことまで調べ上げ、徹底的に研究し作り上げた力作である。

なお、Peter Barakan の NHK FM の番組『Weekend Sunshine』に、「リスナーが選ぶ2016年の年間ベスト」として、この『Monk Studies』から山中のオリジナル曲である『Heartbreak Hill』を応募した。すると、4 人以上からの投票があった曲を紹介する2018年1月13日(土)の本編では取り上げられなかったものの、翌週2018年1月20日(土)にあった番外編で、3 人から応募があったとして、『Heartbreak Hill』が紹介された。その際、その 3 人うち 2 人の応募メッセージが読まれ、私がそのなかに含まれた。

山中千尋が Monk の音楽をどう解釈し、それを彼女なりにどう納得し表現しているのか、垣間見ることができる作品である。

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ヴォーカル ジャズでは、Stacey Kent の『I Know I Dream』である。

2017 年 にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが歌詞を書いている曲『Bullet Train』が収められており、彼女の甘い声が受賞を祝っているようでもある。

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ベストな生演奏は、ベストなアルバムの発売記念コンサートである。アンコールの八木節は、まさに Thelonious Monk が山中千尋に乗り移ったかのようであった。
(Billboard Live Osaka、2017年9月9日、2nd ステージ)



Isamu Nozaki at Jazz Up Japan




posted by Jazz Up Japan at 17:16 2018年03月01日 JST | レビュー | 更新情報をチェックする

2017年01月08日

2016年のベストアルバム





2016年、音楽の聴き方が大きく変わった。Apple Music を始めたのである。

毎週 金曜日、新譜が出ると聴きあさった。

もうフィジカル CD は増やさない。相続する人がいないので自分の死後、無残に捨てられると思うと忍びないからだ。


そんななか、当方が一番に挙げるアルバムは、山中千尋 の 「Guilty Pleasure (ギルティ プレジャー)」 である。

デビュー15周年の2016年に発売されたアルバム、11曲中8曲が山中のオリジナル曲だ。

なかなかカッコいい仕上がりである。前回フィジカルで買った 「Somethin' Blue (サムシン ブルー)」 がもうひとつだったので、余計にそう思うのかもしれない。

「罪なものは楽しい」 と人間の本質を突いたタイトルがまたいい。彼女のラジオ番組でもよく流れていたこともあり、もっとも聴いた新譜である。

世界各地を回って演奏を活動を続ける山中らしい躍動感あふれる作品である。

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そのほかよく聴いたインストのアルバムは、ADAM at の 「スウィートホーム」 である。

踊れるジャズはこうでなくてはいけない。若人は、自らはジャズを演奏しない場合、ジャズは踊れないと聴かないのである。

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ヴォーカル ジャズで気に入ったのは、Cyrille Aimée (シリル エイミ) の 「Let's Get Lost」 である。

2016年4月に東京丸の内の Cotton Club で三日間の公演を行った Aimée、その人気のほどが分かる内容になっている。

ネットラジオ JAZZRADIO.comContemporary Vocals チャネル でも彼女の曲はよく流れている。やはりラジオの影響力は侮れない。

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最後に、岩崎宏美 がジャズ ピアニストの 国府弘子 とリリースした 「Piano Songs」 を挙げておきたい。

岩崎のその衰えぬ歌唱力がたまらない。「思秋期」は絶品である。

2016年の暮れには NHK のラジオ番組PPAP のピアノ演奏も披露した国分。その多才 (多芸?) ぶりを発揮した。



以上



タグ:ジャズ 音楽 CD
posted by Jazz Up Japan at 11:17 2017年01月08日 JST | レビュー | 更新情報をチェックする

2017年01月06日

2016年、もっとも印象的だった生演奏



2016年、鑑賞した生演奏のなかで一番を挙げるなら、9月7日に 大阪市立阿倍野区民センター 小ホールで行われた Elina Duni カルテットのコンサートである。

南東ヨーロッパのアルバニア共和国の出身で現在はスイスを拠点に活動する Elina Duni、彼女の息を呑む歌声はほぼ満席の300人の聴衆を魅了した。

幻想的なステージ演出が Colin Vallon (pf) 率いるピアノトリオの演奏とともに色を添え、なんとも筆舌に尽くし難い妖艶さを呈した。

彼女の英語による MC も分かりやすく、占領、鎖国、内乱と翻弄されてきたアルバニアのお国柄が反映されているかと思うと、オリジナルの歌詞の説明も説得力があった。

また日本に来て演奏してほしい。

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そのほか、強烈だった生演奏というと9月22日に京都の le club jazz 行われた Camila Meza (vo, gt) と Shai Maestro (pf) のギグである。

Meza の歌とギターの超絶テクニックもさることながら、アラフィフのおっさんが言うのも何だが、Maestro のピアノが超セクシーであった。とくに女性客はみなうっとり、骨抜きにされていた。

なおこれには 「伏線」 があり、Camila Meza がヴォーカリストとして参加するクインテット Ryan Keberle & Catharsis のリーダーである Ryan Keberle (tb) を 広瀬未来 (tp) が日本に招聘し、Ryan Keberle & Catharsis Japan Edition 2016 として Keberle 以外は日本のメンバーで1月にツアーを行ったのだ。







Meza のことはそのときに知ったのだが、Ryan Keberle & Catharsis のオリジナル メンバーでは彼女が務めるヴォーカルを、その日本ツアーで担当したのは 東かおる (vo) である。それはかなり難しく、東は相当苦労したそうだが、東が音を上げそうになるほどのパフォーマンスを普段やってのけている Camila Meza とはどんなミュージシャンなのか見てみたい、ということで京都に馳せ参じた次第である。

Ryan Keberle & Catharsis のヴォーカルには卓越した技能が必要とされることは、後に彼らの アルバム を聴いたり、今回の Camila Meza と Shai Maestro の生演奏を聴いたりして認識を新たにした。東かおるは大変と言いながらも、プロなら当然なのだろうが、その役割を難なくやってのけているように素人には見えるので、その超人さがなかなか一般聴衆には伝わらないのが悩ましいところかもしれない。

なお、1月15日の神戸 100BAN Hall における Ryan Keberle & Catharsis Japan Edition 2016 の公演のライブ音源が、ラジオ関西の番組 Kobe Jazz-Phonic Radioアーカイブ (56:14あたりから) で少し聴ける。

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もうひとつ、感動した生演奏を挙げるなら、11月11日に大阪府高槻市にある Music Square 1624 Tenjin で行われた Shiho (vo) と 桑原あい (pf) のデュオである。

Shiho はすさまじい声量で歌ったあと、息一つ切らさないでMCをこなす。高槻ジャズストリート では常連の出演者になっているが、「高槻にタダ (無料) ではない演奏に来られた」 と、この日は本音も垣間見えたか。桑原のピアノもよく理解しており、その良さを存分に引き出していた。2016年暮れになって、Fried Pride の解散を発表したが、今後とも活躍を期待したい。

桑原は、これまでトリオ、ソロ、ピアノ デュオと生で聴いてきたが、「歌伴」 においても遺憾なくその才能を発揮することが分かる演奏であった。Shiho の要求にも的確に応える。この日は米国でのアルバム制作作業を終えて帰国したばかり。Steve Gadd (ds)、Will Lee (bs) との共演が楽しかった上に、米大統領選挙の雰囲気にも揉まれてきたようで、興奮気味に MC していた。2017年2月8日発売の アルバム が楽しみだ。

このデュオは12月30日に韓国の釜山でも公演があり、盛況だったようだ。






以上



posted by Jazz Up Japan at 07:31 2017年01月06日 JST | レビュー | 更新情報をチェックする
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